車に貴賤なし
この前、市民イベントのようなものを見てきました。
すごい数の人、そしてすごい数の原付。
歩行者用の道も、ほとんど残りません。
ですが、みんな気にしない。どんどん止めて、がんがん歩いていきます。
確かに、バリアフリーという観点から考えると、
あまり望ましい状態ではありませんし、
日本の方の中には、「だから日本以外の国は…」などと、
顔をしかめる方もいらっしゃるかも知れません。
ただ、たとえば日本の花火大会など行きますと、
原付の代わりに自転車がこの状態です。
個々の機体が取るスペースの違いで、よりひどく見えるだけの話で、
やっていることは似たようなものなわけです。
しかも台湾の人たちは、別に自分たちのすぐ近くに原付が置かれても、
たいていの場合あまり気にしません。
もちろん素晴らしい状態とは言えないでしょうが、
だからと言って原付の駐車自体を禁止して、
撤去してゼロから整理をはじめよう、というようには考えないようです。
とりあえず、駐車されている物は仕方ないとして、
その上でどう効率的に動くかを、みんな追求している様子。
まあ、そうやってみんな気にしないというのなら、
これはこれで一つのやり方か、とも思わなくもないわけです。
実際、終わった後の散らばり方は驚くほどで、
すごいスピードでみんないなくなります。
この傾向は、今回のような一般市民イベントでも、
友人同士が集まるイベント(例:バーベキュー)でも変わりません。
この辺の、イベント後にダラダラしない感じ、というのも、
個別に行動しやすい原付が普及する一因なのでしょうか。
とは言え、
行政指導する側は「まあいいや」とはいかないのでしょう。
当然、できれば駐輪場などに駐めてもらいたいようです。
こうしたイベント時は、警察も交通整理をするばかりで、
路上駐車も半ば黙認されたような状態ですが、
原付の海の中に、駐輪場への案内看板がむなしく突っ立っています。
この看板、なかなか独特な絵柄で印象に残ります。
どうやら、日本で言うところのフクちゃんやサザエさんのような、
一時代前の国民的漫画家の絵柄のようです。
…タイヤだけ駐めればいいのかよ。
キャラクターのスネ夫みたいな微妙な表情も相まって、
どうしても少しいじわるに、こう聞きたくなります。
「駐輪場」の概念をあらためて考えさせられる一枚です。
自転車の絵を描けばいいじゃないか、とは思うのですが、
市民公園の駐車場ですから、自転車・原付・自動車の駐車場を兼ねるのでしょう。
「三つに共通する物は?」
「…タイヤだ!」
ということでこうなったのでしょうか。
この、妙に作る人の中で理屈が通っていて、
通っているからこそ、結果的に半笑いになるようなものができあがる、
という能力(?)に関して、
台湾の人たちは非常に高いポテンシャルを秘めている気がします。
…そんなもの評価されても嬉しくないでしょうが。
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