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2008年8月16日 (土)

鬼のいる日の洗濯(新竹→大甲、2008年8月15日)

2008年8月15日。起床は11時半。
やはり家だと油断して寝過ぎてしまう。
こんなに疲労を溜める日程では後が保たないので改善が必要だ。
せっかく家に戻ったのだからと、洗濯や昨日の日記をまとめて、はや午後三時。

この日は農暦の7月15日。いわゆる「鬼月」の中日、中元節である。
もはや夕方であまり残り時間もないので、友人にどこで行事が見られるか聞いてみた。
すると、
「そんなのどこでもやってるよ。
 どこでもいいから、早くその辺の廟へ見に行きなよ」とのこと。
そんないい加減な、と思ったが、
話に従って、近くにある新竹の有名な廟に行ってみた。

…まんまとやっている。
でかい神様が街を練り歩き、爆竹はものすごくうるさく、
人は溢れて、臨時で置かれた舞台は電飾で光る。誰がどう見ても廟の祭りである。

それよりも何よりも、まず、行く途中の道沿いが違う。
ほとんどの店先で、たくさんの供え物をしているからだ。
かっこよさげなブティックも、コンビニも、飲食店も、
山盛りの料理やら菓子缶詰の類やらを並べている。
さらに従業員一同が店先に出て、金紙を供えている。
金紙は要するに死者のための金で、燃やして供える。
各店の前で皆が燃やすものだから、沿道はやたらに煙い。

廟の前で祭がある、というだけなら、
規模ややることは大幅に違うとは言え、日本でもある。
だが、こうした行事をほとんどの店でほぼ例外なく行う、
という「当たり前な雰囲気」が特に印象的だ。

要するに、私が友人に「どこで中元節の祭りやってるかな?」
と聞いたのは、今の日本で「初詣って、どこでやってるの?」
と聞くのと同じくらい愚問だったらしい。
確かに「どこでもやってるから、近くの神社に行ってみな」としか答えようがない。

ひとしきり見た上で移動。
前回は山の道を通ったので、今回は海寄りの路線を通る。
一気に苗栗を駆け抜け、台中へ入る。
辿り着いたのが、大きな媽祖廟で有名な大甲である。
媽祖は台湾で特に人気のある神様なので、
こちらでも何かやっているだろう、と期待していたのだ。

案の定、ここでも中元節の祭りで大にぎわいである。
特に、供え物の量がすさまじい。
廟前の広場、周辺の道は、当然のように皆の供え物で埋まっている。
物の量をたとえる表現に「トラック何台分」とは言うが、
供え物として「トラック一台分の米」、というのは初めて見た。
人々の力の集まり具合が、日本とは比較にならない。

人々の期待に応えるかのように、廟側の勢いもすごい。
特設ステージ上では廟の関係者らしき人々が、
ほとんど途切れることなく延々と喋り続けている。
もちろん打楽器はほぼ鳴りっぱなしである。
供え物の合間を、延々と人が群がりうごめいている。
この光景を写真で見ただけで元気が出そうなくらい、
人々の良くわからない力が奔流となって溢れ出している。

あまりの勢いに圧倒され、
とりあえず夕食でも取ろうか、と近くの屋台に座った。
店主らしき人に「日本人か?」と聞かれたので二言三言返しつつ、
頼んでいた牡蠣オムレツをさむさむと食べる。
食べ終わった頃に、店主の友人がやって来た。
彼らの会話はほとんどがビン南語でほぼ聞き取れないが、
國語(中国語)、多少の日本語と英語を交えて、
三人で話している内に妙に盛り上がった。
どこからかビールを買ってきてくれたり、頼んでもいない麺を奢ってくれたり、
旬だという龍眼をくれたりと、えらい歓待ぶりである。

その後、主人が店を離れてどこかへ行こうとするので
「どこへ行くんだ」と聞くと、神様を連れて帰ると言う。
連れて行ってくれないか、と頼んでみたところ、あっさりオーケー。
実際のところ、どこへ行くのかあまり良くわからないまま、車で5分ほど移動。
大きな河沿いに建っている、かなりの豪邸に着いた。
二階の一室が神様のための部屋となっており、河を向いて大きな窓が開いている。
これが周辺一帯の廟を兼ねたものなのか、
店の主人一家だけのものなのか、結局はわからずじまいであったが、
とりあえず彼の一家が金持ちだ、ということは確かなようだ。

聞いてみると、この神様は関公だという。
関公と言えば、三国志でおなじみの関羽である。
私は日本にいる頃からの三国志好きなので、
関羽は台湾でもポピュラーな神様とはいえ、妙な因縁もあるものだと思う。
まさか関羽と一緒にドライブする日が来ることになるとは、
日本にいたときには想像もしていなかった。
帰りがけに縁起物と言うことで、供え物の林檎を貰った。
「関公のリンゴ」と書くと、何やらRPGのアイテムのようである。

屋台に戻ってしばらく歓待された後、宿を探そうと暇を告げる。
すると、近くのビジネスホテルに案内してくれるというので、
まずは勘定を済ませておかなくては、と財布を出した。
すると主人は私を制し、「友人から金は取れない」と言い、
一元も受け取らずにホテルへ案内すると、にこやかに手を振って去っていった。

…うん、なんだこりゃ。
「たまたま入った屋台で、初対面の主人と意気投合して、
 色々見せてもらって飲み食いして、結果タダだった。」
改めて自分で書いても、読み直しても、要約しても、
にわかには信じがたい話ではある。

バイクで一人環島している、と言えば、同情されて道を聞いても邪険にされないだろう、
くらいの淡い期待はしていたのだが、わずか三日目(実質二日目)にして、
私の貧弱な想像を軽く凌駕するこの歓待はなんだ。
しかも、本当に縁もゆかりもない相手に、である。
本当に、なんだこりゃ、としか言いようがない。
中元節のもたらした奇跡なのか。今後の展開が楽しみのような、不安のような。
まずはこの日が例外だと思って、謙虚に行こう。

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